前回の続きです。
全国の原木椎茸生産者や工務店などに先を越され、
太陽光発電事業の目新しさも将来性も失われている中、
私はどうすれば資金調達をできるか悩んでいました。
設備認定を取得しており、買取価格も32円と現状に比べると非常に良いので、
許可を捨てるのはもったいない。
権利を譲渡するという手段もありましたが、農地一時転用が絡んでいるので、
簡単に引き受けられる方は少ない。
そんな中、日本政策金融公庫農林水産事業部の方の発言がふと頭をよぎりました。
その方が言うことには、
農林水産事業としては農業施設には融資できる。
また、再生可能エネルギー事業者への制度融資はある。
ただし、発電した電力の半分以上は農業に使用することが条件となる。
というものでした。弊社の場合は全量販売の事業計画でしたから、
制度融資に当てはまらないなと、早々に諦めていました。
しかし、過去の資料を振り返っていたところ、あることに気づいたのです。
私たちは、『人工ほだ場が欲しい』のだと!
最初のBlogにも載せましたが、
左が『原木椎茸の人工ほだ場』、右が『パネル下のほだ場予定地』。
やっぱり似ている!
これって、そもそも農業施設じゃないの??と思った訳です。
太陽光発電とかソーラーシェアリングという言葉が独り歩きして、
発電事業が目立っていましたが、一番の目的は原木椎茸栽培の拡大を、
人工ほだ場で行うことだったと。
私は、この事業を2つに分けることにしました。
架台部分は椎茸を栽培する為の人工ほだ場という農業施設であり、
弊社の椎茸栽培事業に必須な設備だと。
同時に、その上にパネルをのせて発電事業も行うのですよ、と。
これを言葉だけではなく、いくつかの機関に認めてもらう作業をしました。
きちんと書類整備と他機関の承諾を受けた後、公庫の農林水産事業に
話を持っていったところ、制度融資に該当することになったのです!
こうして農業施設部分は公庫、発電事業は民間金融機関で資金調達ができる運びになりました。
(農林水産事業部の制度融資って、ものすごーく低利なんです。)
ついでに、ふるさと融資という制度も利用したかったのですが、
これ以上業者さんに迷惑をかけることができなかったので諦めました。
意外に思われるかもしれまんが、農業施設に認めてもらうことで、
この事業に関して他にも様々な、そして大きな恩恵を受けることが出来ました。
何だそんなことかと思うかもしれませんが、これをやることで物事は一気に優位に進みました。
平成29年7月に農地転用をクリアし、同年9月から工事に入り、
このたび完成の運びになりました。
私たちは、効率的な発電よりも効率的な農業を優先して取り入れました。
パネルの角度は一般的には30度前後だと思いますが、
弊社の角度は10度です。なるべく日陰が欲しいからです。
椎茸栽培の天敵を防ぐために、遮光ネット、防風ネット、散水設備も完備です。
作業のしやすさの為に、ビニールハウスも入れました。
少量ですが自家発電用の設備も導入し、椎茸作業の電力も補えるようにしました。
そして、植菌から収穫まで同一施設で行う!!
すべては、原木椎茸栽培の為です。
売電収入に関しては、農業の設備投資を補えられて、多少経営の安定を図れれば
良いかな、ぐらいの気持ちです。
弊社にもっと力があれば、時間をかけずに事業をスタートできたと思います。
そうすれば、他の原木椎茸生産者にも自信を持って勧めることができたなと、多少の後悔はあります。
固定買取価格制度は、価格が下がったとはいえまだ続いています。
弊社が一部を農業施設と認めてもらった経緯があるので、原木椎茸なら応用できます!
前提となるのは農業を優先で事業設計することですかね。
概要は以下のとおりです。
元請:株式会社ジャスナ・株式会社須藤商店
協力:一般財団法人日本きのこセンター
資金調達先:日本政策金融公庫農林水産事業部・北都銀行
事業費:7,200万円(税込)
用役ほだ木:約20,000本(5年計画)
椎茸生産量:400kg~600kg(乾燥)/年間
発電出力:190kW
年間発電量:200,000kW/年
雪が降ったし、工事の途中の画像しかありませんが、参考までに。
春になれば、本格的に原木を搬入していきます。
年明けから山で伐採作業に入り、春になれば忙しい日々が始まりますが、
BlogやFacebookでも、たまに近況を載せるのでお楽しみに。
以上、今年の大きな出来事についてでした。